首都圏における中古ミニ開発住宅の実態調査
峯 成子, 森本 信明, 中大路 美智子 他
建築研究資料 No.35, 建設省建築研究所
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<概要> |
ミニ開発に関する議論は、昭和50年代のはじめより活発に行われてきている。第一研究部においても、「都市住宅の立地・形式に関する研究」の一環としてミニ開発問題を主要テーマのひとつにあげてとりくんできている。この間、地区計画制度が行政的に具体化されているが、その実際の運用にあたっては、各地区の実態が充分に解明されることが望まれている。ミニ開発住宅地区においても、その現状が充分に把握されるとともに、将来これらの住宅がどのように変化してゆくかを明らかにすることが求められている。
本研究は上記のニーズに対応するため、首都圏における建設後およそ10年以上を経過した、過去のミニ開発住宅が、現在どのような状況にあるのかを明らかにするための調査結果を中心にとりまとめたものである。
調査結果から得られた主な結論は以下のようなものである。
(1)敷地規模の小さいもの程転売が進んでいる。
(2)古いものでは、転売時に建てかえられて売られているものがかなりあると考えら
れる。
(3)当初より入居している人の住宅を中心に、増改築はかなり行われている。
(4)ミニ開発住宅地周辺のビルトアップ率は必ずしも高いものではない。
(5)周辺環境の変化に対しては、交通の便など生活の利便性に対するプラス評価と
、自然環境に対するマイナスの評価がなされている。
(6)住宅の価格は、購入時よりかなり高い価格で売れるものと予想しており、また現
実の取引はその期待に大きな誤りがないことを示している。
(7)定住者には、現在地が気に入っているから住み続けたいとするものは少なく、こ
の辺ではこれ以上の住宅をえることが困難であるので住みつづけざるをえないな
どの、消極的定住意向をもつものが多い。
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