■建築研究資料

都市における供給管共同溝の計画と設計

浅野  光行,   桐越  信

建築研究資料  No.41,  1983,  建設省建築研究所


<概要>

  共同溝の整備は高密な市街地にあって、水、エネルギー等の安定した供給・処理を確保し、公益施設の道路空間への適正な配置を実現する手段として高く評価されるものである。  共同溝自体の歴史は古いが、これまで整備が進められてきた共同溝は主として幹線共同溝と呼ばれ、公益施設のなかでも幹線ケーブルや管路を対象としている。しかしながら、架空線および地下管路の大半は幹線から分岐し需要家と直結する供給管・ケーブル等であり、都市内の道路にはこれらの管路等が複雑に配置されている。従って道路構造の保全と円滑な交通の確保を始めとして、都市の貴重な公共空間である道路空間の適正利用、都市景観等への配慮の必要性が高まるなかにあって、今後、供給管等においても都市づくりの一環として共同溝化について検討する必要性は高い。
  本研究は、この供給管等を収容する共同溝(供給管共同溝)について、その断面構成、位置および線形などの技術的な側面に焦点をあてて検討を行い、計画標準断面等の作成のための基礎資料を得ることを目的として進めたものである。供給管共同溝は幹線共同溝に比較して実施例も著しく少なく、また技術的な点についての調査研究例も少ないため、現行制度との関連、企業者固有の設置条件、検討の過程で生じた問題点等、必ずしも十分な検討が行えず、今後の検討課題として残された課題も多いが、現段階での研究成果としてとりまとめを行っている。
  本研究では、はじめに供給管共同溝が必要とされる背景と供給管共同溝に期待される効果について概略的な整理を行うとともに、わが国における過去の整備事例について概観している。つぎに、各種の公益物件のうち需要家に直結する供給管の範囲について示すとともに、供給管共同溝の形式について分類・整理し、計画標準断面を作成するための基礎的な検討として、収容物件の容量などをもとに、断面の構成や溝外施設の要件などについて整理・検討している。さらに、検討された断面構成をもとに、供給管共同溝の道路の断面上、平面上における位置と線形について検討するとともに、供給管共同溝の体の構造と共同溝化に伴って必要となる各種の附帯設備についても整理をしている。
 供給管共同溝の有効性については、概念的なレベルでは整理されているが、具体的な整備を進めるにあたっては、本研究で明らかにされたような数多くの課題をひとつひとつ解決していく必要がある。
 なお、本研究資料を作成するにあたっては、建設省都市局街路課、住宅・都市整備公団との共同研究として実施した「供給管共同溝の計画標準作成に関する調査」研究会(座長黒川洸筑波大学助教授)における検討資料ならびに各公益企業者より提出された多くの資料を参考にしている。


建築研究資料一覧へ戻る |  出版物一覧へ戻る



前のページに戻る



 所在地・交通案内
関連リンク
サイトマップ
お問い合わせ
リンク・著作権


国立研究開発法人 建築研究所, BUILDING RESEARCH INSTITUTE

(c) BRI All Rights Reserved