■建築研究報告

膠着合成梁の構造形式に關する研究

小泉  安則

建築研究報告  No.4,  昭和25年5月


<概要>

  膠着梁とは比較的少さな材を膠着劑を以て組立てた合成梁である。最近木造小學校教室,事務室等の長大な床梁の需要が多いに拘らず斬様な一本物の手入は困難であり,從って合成梁が強く要求されている。
從來は釘打又はヂベルをもってする合成梁が専ら用いられていたが,之れらは接合部の變位に起因する撓みが大きいため,必要な剛性をもたせるためには結局梁丈を大きくしなければならず,木材の使用量も多く,天井のふところの狹いところでは設計に困難を生ずることがあるのである。膠着梁は斬様な點については他の合成梁に比して非常に優れているのであって,接合面に生ずる變位は極めて小さくその剛性は眞物の梁と殆んど變らない。
從って梁丈も低く材積も少くて濟むわけである。しかし膠着が完全に行はれているかどうかを外部から判斷する方法はなく,その梁の強度は設計のみでなく,製作時に於ける材の乾燥度,面仕上げの程度,膠着材の種類,壓締の具合等施行の種々の要素によって大いに支配されるのであって,製作の際十分の注意が必要であり,この點からも工場生産方式を採るべきである。
こゝには設計の資料となるべき實驗の結果を集めたのであるが,先づ二層及び三層の繼手をもった重ね梁の模型實驗の結果に基いて夫々に對し必要な繼手長さを示し,更に實大の梁について之を考え,又充腹梁の試作試驗結果を述べ,それ等に基づいて標準となるべき設計を示した。

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