■建築研究報告 |
高層建築物の耐震設計法に関する研究 第3研究部・国際地震工学部 建築研究報告 No.46, 1965 建設省建築研究所 |
<概要> |
昭和38年7月に建築基準法が改正されて建物の高さの制限がなくなり新しく容積地区制が設けられたが,これによって従来の制限高さ31メートルをこえる高層建物が続々計画され建設されるようになった。 このような高層建物の構造設計はわが国としては初めての問題であり,とくに耐震設計については従来の計算法の適用は不適当であるので,建設省に高層建築物構造審査会が設けられ,原則として高さ45メートル以上の建物については個々に審査を行っている。 建築研究所では昭和37年度から「高層建築物の耐震設計法」を研究課題としてとりあげ,同年デジタルコンピューターNEAC2101を,つづいて翌年からNEAC2230をこれに加えて設置し,また昭和38年度からアナログコンピューターも備えて鋭意高層建物の強震に対する応答を研究してきた。その成果の一部が本報告の論文I,IIである。 次に地震応答とならんで高層建物の耐震性において重要な問題は構造体における復元力と変形の関係であって,これは地震応答計算の基礎となるものであり,その性状は塑性変形に入っても強度の低下をきたすことなく大きな変形に追従しうることが必要である。これに関する研究として本報告に鉄骨,鉄筋コンクリートおよび鉄骨鉄筋コンクリート構造に関する論文III,IV,Vが発表されている。 高層建築の耐震性に関しては最近各方面で多くの研究が行われておりその発表も盛んであるが,本報告に集録した諸論文もこの新しい分野の発展とその実施設計に寄与しうるものと考えて,また,関係各位のご批判をいただきたいと考え,ここにまとめて刊行した次第である。 昭和40年9月 |