■建築研究報告 |
鉄筋コンクリート造柱及び耐震壁の構造性能に関する研究 尾崎昌凡, 広沢雅也, 岡本 伸, 遠藤利根穂, 後藤哲郎 建築研究報告 No.71, 1975 建設省建築研究所 |
<概要> |
我が国の鉄筋コンクリート造建築物は、主として6〜7階建て以下の建物に限られているが、その用途は多くの官公庁建物をはじめ、学校、病院や通信、消防関連施設等の防災上重要な建物ばかりでなく、アパートや事務所としても数多く建てられている。 一般に鉄筋コンクリート造建物は他の構造による建物とくらべ耐候性、耐火性、耐風性には優れているもののその重量が重く、かつ剛性が高いため、地震時においては他の構造による建物より、大きな地震入力をうけやすい。従来、鉄筋コンクリート造建築物の耐震設計は0.2を下限値とする設計震度を用い、弾性設計法によって行われてきていたが、近年、我が国をはじめ世界各地におこった地震によりほぼ類似の設計法によって建てられた鉄筋コンクリート造建物が少なからぬ被害をうけるに及び、それらの強度性状、変形性状の再検討が必要とされるようになってきた。 さらに一方においては、資源の枯渇、熟練技術者の不足等により、鉄筋コンクリート構造についても、人工軽量骨材や高強度異形鉄筋の出現を見、かつまた省力化を目的としたプレハブ化も積極的にすすめられてきている。 本報告は上記のような背景のもとに、新材料、新構法を含む鉄筋コンクリート構造について、その主要な耐震要素である柱および耐震壁の強度、変形性能の解明を目的として行われてきた研究のうち、48年度迄に行われた研究成果の概要と、49年度における研究成果の詳細を述べたものである。 |