■建築研究報告

「1978年宮城県沖地震」の被害調査報告書

建築研究所災害調査団

建築研究報告  No.86,  1979  建設省建築研究所


<概要>

  この調査報告書は、昭和53年6月12日午後5時14分に発生した宮城県沖地震による諸被害について建築研究所が実施した調査結果をまとめたものである。調査の目的は建築学の諸分野において各種の建築物、地盤、付属する工作物等の地震時の挙動と被害の実態を把握し、今後の当所における研究および建設省の建築住宅宅地都市行政等に反映し得るような学術的資料を得ることにある。
  地震発生後、直ちに当研究所では所内に調査本部(本部長、上村克郎研究調整官)を設置し、調査方針、調査内容、調査団員等について検討を行った。そして、第1次調査団を編成して現地へ派遣したが、その後、調査団の報告その他によって被害の様相が判明するにつれて必要と考えられる調査団が次々に派遣され、多数の地震災害調査を実施し、多大の成果を挙げることができた。主たる調査団及びその構成は次のとおりである。

(「  」は主目的、○印は団長)。

  第1次調査団  (6月13日〜15日)

  「被害の概要と特徴の把握、顕著な被害建物の調査、2次以降の調査のための準備」

○渡辺  丹  (第三研究部長)

  友沢史紀  (第二研究部無機材料研究室長)

  広沢雅也  (第三研究部構造研究室長)

  大橋雄二  (住宅局建築指導課)

第2次調査団  (6月19日〜22日)

  「RC造、木造、鉄骨造、組積造、ブロック塀、地盤についての構造別の詳細な調査」

○広沢雅也  (第三研究部構造研究室長)

  杉村義広  (第三研究部基礎研究室長)

  桝田吉弘  (第二研究部無機材料研究室研究員)

  山内泰之  (第三研究部構造研究室研究員)

  後藤哲郎  (第三研究部構造研究室研究員)

  平石久廣  (第三研究部振動研究室研究員)

  馬場明夫  (第四研究部施工技術研究室研究員)

  上之薗隆志(第四研究部住宅建設研究室研究員)

  中田慎介  (国際地震工学部第二耐震工学室主任研究員)

  第3次調査団  (6月28〜7月1日)

  「常時微動の測定」

○北川良和  (第三研究部振動研究室主任研究員)

  水野二十一(第二研究部無機材料研究室研究員)

  山崎  裕  (国際地震工学部第一耐震工学室主任研究員)

  小野高磯  (国際地震工学部第一耐震工学室研究補助員)

  第4次調査団  (6月29日〜7月2日)

  「家具等の詳細な調査」

○室田達郎  (第三研究部耐風研究室長)

  石山祐二  (第三研究部構造研究室主任研究員)

  岡田  恒  (第三研究部耐風研究室研究員)

  第5次調査団  (7月3日〜7月5日)

  「プレストレストコンクリートおよびプレキャストコンクリートによる公営住宅調査」

○岡本  伸  (第四研究部住宅建設研究室長)

  福田俊文  (第四研究部住宅建設研究室研究員)

  第6次調査団  (7月7日〜7月8日)

  「宅造地および地盤の調査」

○阪口  理  (第四研究部長)

  以上の調査団は主対象が建築物の被害であるが別に都市災害の調査を主目的とした調査団も第六研究部を中心として編成され、数回にわたって調査を行ってきた。
  都市災害に関する調査の成果については、別に取り纏める計画をもっているのでこゝでは割愛する。
  第1次から第6次までの調査に当たっては、建設省住宅局建築指導課と連絡をとりながら、現地の宮城県土木部建築宅地課、福島県土木部住宅課、仙台市役所建築課、東北地方建設局営繕部などの関係諸官庁の協力を得て手際よく能率的に行動することができた。また、東北大学工学部建築学科、東北工業大学工学部建築学科の方々、仙台市に支店をもつ大手建設業の技術陣、東京などの他地域から調査団を派遣された東京大学、東京工業大学などの調査団員等、多くの方々との情報交換を行うことができた。こゝに改めて感謝し、お礼を申し上げる。

  最後に、今回の地震で28名の尊い命がブロック塀の倒壊等によって失われたことに対して衷心よりご冥福を祈るとともに、今後はこのようなことが再び起こらないようにわれわれの調査および研究の成果を活用されるように努力してゆきたい。



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